事例 NO.002
退職届が受理されない
先日面接をして採用に同意された看護師さんからの相談です。
このクリニックは雇用のミスマッチを防ぐため面接実施後必ず職場見学に来ていただき、
実際のスタッフの仕事ぶりや雰囲気を見てから本人の同意を得るようにしています。
現勤務先上司に退職届を提出したところ「受け取れない」の一点張りで途方にくれて相談がありました。
これは当然ながら看護師不足の現状で、上長が安易に退職届を受け取ってしまうと簡単に補充が出来ず
現場に混乱をきたすため、責任者である相手先院長などから厳しく叱責されるためと思われます。
結論から言えば、労働者側からの退職申し出について使用者が止めることは出来ません。
ただし退職届が受理されないということは、相手側は退職日等が明記された中身を見ていないので
下記のアドバイスをしました。
1、就業規則を確認して退職申出期日を守った退職日を設定すること。
(通常1ヶ月前に申し出る・・といった表現になっています)
2、現勤務先が期間の定めの無い雇用契約であること
(有期雇用契約期間の途中での退職は契約不履行による損害賠償を請求される可能性があるため。
/通常はそのようなケースはほとんど見られませんが・・・・)
口頭で退職期日を伝えた上で退職届を書留等で(内容証明までは必要ないと思います)責任者宛に送付しておくこと。
先方から補充看護師が見つかるまで勤務して欲しいとの妥協案を提示する可能性があるが、
転職先での勤務日が決定しているので固辞すること。
上記にかかわらず、退職日まで勤務しないといけないので、可能な限り双方に取って円満な退職手順を踏むこと。
自己都合退職は、民法上の労働契約の解除であり、その方法は文書、口頭、いずれも有効であり、
いずれの方法も行われている。
但し、離職の申し出の書証とするためには、退職届(退職願・辞表ともいう)を提出する。
一般的に退職願の書式などが紹介されることもあるが、これらは礼儀やマナーの問題として慣習的に定められているもので、
法律的には、本人により退職の意思が明示されているならばどのような書式でも有効である。
労働慣習では、労働者からの一方的な労働契約解除を文書で申し出ることを「退職届」といい、
完全自筆で文書を作成する場合と、会社に既定の様式が用意されている場合がある。
期間の定めのない労働契約の場合は「退職届」を提出する事により労働契約を解除する事ができる。
これを任意退職と言う。解除の時期は、原則として民法第627条第1項により14日後に労働契約の解除(解約)となる。
ただし月給制においては民法第627条第2項により、月の前半に退職を申し出た場合は当月末に、
月の後半に退職を申し出た場合は翌月末に、退職は成立する。
また年俸制のような「6ヶ月以上の期間をもって報酬を定めた雇用契約」においては民法第627条第3項により、
3ヶ月後に退職が成立する。
しかし期間の定めのある労働契約については、民法第628条により原則として契約期間の満了まで退職する事はできない。
また、双方が合意すれば、退職日を14日後以外に設定することも可能である。これを合意退職と言う。
この場合は、労働契約解除日の合意解除・合意解約を行ったことになる(これも契約の一種である)。